水成二酸化塩素の歴史
水成二酸化塩素はどのように使用されてきたのか

『二酸化塩素』から『水成二酸化塩素』への歴史


宇宙の安全な飲料水の確保
当たり前のように空気があり、蛇口を捻ればいつでも簡単に飲料可能な水に手を伸ばせる地上と違い、宇宙では宇宙服や空気の充満した作られた空間以外では呼吸をすることはおろか、大量の水で汗を流す事も出来ません。
宇宙へ飛び立つスペースシャトルの搭乗可能人数は最大5人という極めて少ない人数の中で、限りある水を有効活用し、且つ飲める水として品質を維持することがミッション成功に必要不可欠でした。その上、5人の宇宙飛行士は宇宙の中で多岐に渡る作業を予定通りしなければなりません。質量の決められたスペースシャトル内では大がかりな装置で水をろ過したり、時間がかかるものでは難しかったのです。
水成二酸化塩素は宇宙で彼らの健康を維持するための液剤として活躍したのです。


ダグラス社・ボーイング社・ユナイデッドエアラインの航空機飲料水システム
空の安全な飲料水の確保
人類にとって宇宙ほど稀有な環境ではありませんが、それに次ぐほど特別な空間である高度1万メートルの上空における飛行機内の乗客への安全な飲料水の確保について、かつての航空機メーカーダグラス社、現行のボーイング社、そしてユナイデッドエアラインの航空機飲料水システムに水成二酸化塩素が使用され、ボーイング社は現在も使用されています。
なぜ水成二酸化塩素を使用する事になったのか
1980年代初期頃までボーイング社では塩素系での処理をしていましたが、味や臭いの問題のみならず、給水地によっておこるバクテリア汚染が原因の乗客の健康リスクがあり、その回避や、機内の金属腐蝕及びシステム内のホースへの有害な塩素反応など、繰り返し問題が発生していたため、水成二酸化塩素での殺菌性試験をする流れとなりました。

以下は採用された時のサービスレターの一部です。当時水の浄化に使われていた製剤と実験・比較し、どの様に優れているか考察されています。



様々な項目のテストを行なった結果
全て満足のいく結果を取得。
マニュアルとして「チャプター38」に記載されることとなりました。


ベトナム戦争で使われた水成二酸化塩素
人類が初めて月に到達するという偉業を達成した頃、ベトナムではベトナム戦争が続いており、その戦争下でアメリカは5万人以上もの戦死者を出しました。
戦死者が出ると、亡骸を遠く地球の反対側にある祖国のご家族の元へ返還するため、戦地から一度日本などにある米軍基地に運びました。
そこで水成二酸化塩素をパウダー状にしたものを使用し腐敗の抑制に使用されていました。ご遺体はそれだけでなく損傷によっては縫合をし、きれいに整えた後、丁重に飛行機で輸送されて行きました。 水成二酸化塩素は水を飲料水として浄化するだけでなく、目に見えない腐敗菌や腐敗微生物の発生を抑制できるため、こういった歴史の中の特別な状況においても活用されてきたのです。

このように宇宙環境の安全な飲料水の開発から、航空機並びに歴史的な戦争においての遺体の処理など、様々な用途において半世紀あまり使用されてきたことが水成二酸化塩素の歴史になります。
次回は現在の使用用途等について説明していきます。